【イベントレポート】Future Product Days 2026 in Copenhagen

Miho Yajima
4 分で読める

皆さん、こんにちは!
2026年9月、デンマーク・コペンハーゲンで開催されたプロダクトカンファレンス「Future Product Days 2026」に、Dealから2名が参加しました。現地で見聞きした会場の雰囲気や印象に残ったセッション、考えたことをシェアします。


はじめに:なぜ海外カンファレンスに参加したのか

UXファームとして、私たちはクライアントのプロダクトづくりに日々向き合っています。
AIの登場によって、体験設計の前提はここ数年で大きく変わりました。その変化の最前線で何が議論されているのかを、二次情報ではなく自分たちの目と耳で確かめたい。それが、今回の参加の一番の理由です。
(Dealの詳細が気になる方はぜひこちらもご覧ください)

もうひとつの理由は、海外カンファレンスの情報が日本語ではまだ少ないことです。「行ってみたいけれど、どんな雰囲気なのか分からない」「英語のセッションについていけるか不安」という声もよく聞きます。この記事が、これから参加を考える方の判断材料にもなればうれしいです。


Future Product Daysとは

Future Product Daysは、プロダクトデザイン、UX、AI、エンジニアリングをテーマにした、欧州最大級のプロダクトカンファレンスです。デザイナー、プロダクトマネージャー、エンジニア、リサーチャーなど、プロダクトづくりに関わるさまざまな職種の人が集まります。

・開催日:2026年9月22日〜24日
・開催地:デンマーク・コペンハーゲン
・会場:Lokomotivværkstedet
・構成:講演2日(4つのステージで並行してセッションが進行)+ マスタークラス1日

登壇者は、YouTube、Microsoft、Booking.com、Spotify出身のプロダクトリーダーなど、実際にプロダクトをつくっている企業の実務家が中心です。研究機関のNielsen Norman Groupや、デザイン界の第一人者であるDon Norman氏のセッションもありました。
(詳細は公式サイトをご覧ください。)


会場の雰囲気

ステージごとに大型スクリーンが設置されていて、登壇者の様子とスライドが並んで映し出されます。後方の席からでも内容を追いやすい作りでした。

参加者の多くは、ラップトップやスマートフォンでメモを取りながら真剣に聞いています。
一方で、セッションの合間にはコーヒーを片手に参加者同士が気軽に話す姿もあり、服装もカジュアルな人がほとんどでした。


セッションから学んだこと

2人で手分けして、2日間で20以上のセッションに参加しました。それらのセッションを振り返ると、大きく3つのテーマに集約できると感じました。

1. AIそのものより、体験の価値

「AIを搭載しました」と打ち出すだけでは、もはや価値として伝わらない、という話が立場を問わず共通していました。何にでもAIを足せば体験が良くなるわけではなく、ユーザーにとって何が楽になるのか、何ができるようになるのかを起点に考えるべきだ、という冷静な考えです。

ワークショップ「8 questions for user-centered AI」より
このテーマを具体的に学べたのが、AI機能を企画するときにユーザー中心で考えるための8つの問いを学ぶワークショップです。参加者は自分が作りたいAI機能を1つ決め、問いに沿ってワークブックに記録し、最後にはノーコードツールでコンセプトを形にするところまで進めました。

中でも印象に残ったのは、サービスやプロダクトの信頼に関わる次の観点です。

  • AIをどれだけ目立たせるか

  • AIをどれだけ人間らしくするか

2つの観点に共通しているのは、AIは使えば使うほど良いわけではない、ということです。AIを目立たせるかどうかにも、人間らしくするかどうかにも正解はなく、場面に応じて判断する必要があります。特に2点目の、悪い知らせは人間らしいAIより淡々と伝えるAIの方が満足度が高い、という事例は面白く、印象に残りました。AIを使えば楽になるシーンもあれば、逆に使わない方がいいシーンもあります。私たちも、チームでプロダクトを検討する際には、この2つを最初に定義しておく観点として取り入れていきたいと考えています。

2. 音声・コンテキストが重視される世界へ

AIエージェントがユーザーの代わりに操作する場面や、音声で話しかけるだけで用事が済む場面が増え、デザインの対象が「画面のレイアウト」から「会話の流れ」や「利用される文脈」へ広がっています。

その背景にあるのが、「私たちがテキストで入力するのは必要に迫られているからであって、本当に一番楽なのは話すことだ」という考え方です。講演では、この考えのもとに生まれた事例が次々と紹介されました。音声の会話だけで顧客対応や予約の変更までこなすAIや、相手の感情に合わせて話し方を変える音声AIなど、どれも構想ではなく、すでに使われ始めているサービスです。欧米ではすでに当たり前になりつつあるこうした体験は、日本でも近い将来、当たり前になっていくかもしれません。

3. 作るより、決める

AIによってプロトタイプや実装のスピードが上がり、「作れるかどうか」はボトルネックではなくなりつつあります。そのぶん、何を作るか、何を作らないかを決める判断力が価値の中心になる、という話が複数のセッションで語られていました。デザイナーやPMの役割そのものを問い直す内容も多く、会場の関心の高さがうかがえました。


UXファームとして感じたこと

3日間を通して強く感じたのは、AIの話題が「何ができるか」から「どう信頼してもらうか」へ移っていることです。

AIは、自信のない内容でも自信があるような文章で答えます。だからこそ、精度を上げるだけでなく、どのくらい確かなのかをユーザーに伝える工夫が、体験の品質を左右します。答えの根拠を添える、確信度を言葉で伝える、取り消せない操作の前には確認を求める。どれも地味な工夫ですが、AIが間違えたときにも信頼を失わないための大事な設計です。

また、音声やエージェントのように画面が主役でなくなる体験では、これまでの画面設計の知見だけでは足りなくなります。会話の流れ、AIに任せる範囲、声のトーンまでを含めて体験を設計する力が、これからのUXデザイナーには求められていくはずです。

日本では、音声を中心にした体験はまだこれからという印象です。だからこそ、海外で先に起きている変化をいち早く捉え、クライアントのプロダクトに合った形で取り入れていくことが、私たちUXファームの役割だと改めて感じました。


これから参加したい人へ

実際に参加してみて、「事前に知っておけばよかった」と感じたことも紹介したいと思います。

参加前の準備

  • セッションは事前に選んでおく: 複数のステージで同時にセッションが進むため、聞きたいものが重なることがよくあります。私たちは複数人で参加し、時間が重なる枠は手分けして聞きました。

現地で

  • 英語に不安があっても大丈夫: スライドに要点がまとまっているセッションが多く、聞き取りと合わせれば内容はつかめます。気になった言葉をメモしておき、あとで調べるのもおすすめです。

  • 休憩時間も大事にする: セッションの合間の会話から、ほかの国のチームがどうAIと向き合っているかを聞けることもあります。

おわりに

Future Product Days 2026は、AI時代のプロダクトづくりについて、技術の話だけでなく、人の心理や信頼、組織のあり方まで幅広く考えるきっかけになるカンファレンスでした。現地の熱量に触れられたことも、私たちにとって大きな刺激になりました。

私たちはこれからも、国内外の最新の知見を積極的に取り入れ、クライアントのプロダクトづくりに活かしていきます。また、得られた学びはこのブログでも発信していく予定です。

AIを活用したプロダクトの体験設計について相談したい方は、【https://deal-biz.jp/】からお気軽にご連絡ください。

※本記事の内容は、2026年開催時点の情報です。次回の開催情報は公式サイトをご確認ください。